ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

古川武士『理想の人生をつくる習慣化大全』_感想

 

習慣化の力

習慣化コンサルティングという分野があることを初めて知りましたが、なるほど、生きていく活動の8割くらいは、ほぼ習慣のなせる業だということに気が付いて、最後まで一気に読んでしまいました。

本書では、とにかく自分自身を上手く「乗せる」メソッドがたくさん書かれています。

例えば、〇〇をしないといけないとわかっているのになかなか取りかかれない時に、自分の気持ちを上げるにはどうしたらいいのか…?そのヒントを行動、考え方、感情、環境に落とし込んで分かりやすく書かれています。例えば行動であれば「カタチ」から入ってみるとか、考え方であれば「できること」に目を向けるとか、読んでみると、全部納得の内容で、あとで読み返してみても気づくことが沢山あるように思います。

結果は行動量と確率で考える

なかでも、私の心に響いたフレーズは「結果は行動量と確率で考える」というメソッドです。結果が出ないのは何か外的な要因があるとか、自分自身のスキルが未熟だからだとか、そんな風に考えていましたが、違うんですね。単に行動量が足りてないだけだったんだ、と気が付きました。まさに、これは「下手な鉄砲、数うちゃ当たる」で戦略も何もないのですが、考えてみると、戦略とか合理性とか、そういうことの前に、上手くいかないことに対しては圧倒的に行動が足りていないことが多いですよね。

例えば、仕事で相手を説得して、こちらの提示に納得・同意していただかないといけない場面で、説得材料が足りないからとか、こちらの説明が下手だからとか、相手と相性が悪いからとか、そんなことばかり考えていましたけど、そもそも、その人にどれだけの回数会って言葉を尽くしてこちらの思いを伝えただろうか、熱量は十分だっただろうか、と考えてみると、自分が思うほどには行動できていなかったことに気づきます。

著者は新入社員だった頃に営業の電話を30件かければ1件くらいは反応が返ってくることに気づいて、努力でなくて「確率」なんだと分かり楽しくなったと書いています。もちろん効率的にその確率を上げる方法もあるでしょうし、そういうスキルを色々と紹介しているビジネス書もありますが、つまるところは、まず行動しないと何も始まらないわけで、いろいろ考えて最善の方法を探してストレスを感じるよりも、できることをできることから始めてみるのが精神衛生上も良いのだと思いました。なんせ、確率ですからね。そのくらいの割り切りが清々しくて気に入りました。

できないと思っているうちは、やっぱりできない

習慣化することで、毎日のルーティンにしてしまえば驚くほど簡単に面倒くさいことができてしまうことがあります。逆に頭の中で、これをしたいな、あれをしたいな、でも時間がないな、スペースがないな、体力がないな、と考えていることは、いつまでたっても始められませんし、当然、できるようにもなりません。そして、いつまでも心の中に残念な気持ちが残ってしまって、できない自分を再確認してがっかりした気分になります。小さなことでも、行動をして「できる」自分自身を感じることが大切なのだと思いました。

私も、長年、やりたいな、と思っていることがあるのですが、今はまだ忙しいからとか、仕事がひと段落したらとか、子どもが大きくなったらとか、やり始めない理由を自分で探して納得しているところがあります。

そんなん関係なくて、ただ、やりたいと思っているなら出来るようにやってみたらよいだけなのですね。これからは行動量と確率で考えてみたいと思います。

何かやりたいけど、なぜかできない、やる気がわかない、という方、ぜひ一読をお勧めします。読後は明日からといわず、今からやろうかな、という気分になっていますよ。

 

2022年7月15日 読了

大塚雄介『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』_感想

 

本当にいまさらですげど

 2017年執筆の書籍なので、本当にいまさら感がありますが、仮想通貨と全く縁のない生活をしてきた私のような人にとっては、とっても分かりやすい入門書でした。同じ著者の「最新 いまさら聞けないビットコインブロックチェーン」という本もあるようなので、最新の動向を知りたい方はそちらがお勧めかもしれないですね。

 本書では、そもそもビットコインとはどういうものか、電子マネーとは何が違うのかから始まり、ブロックチェーンの技術とは、マイニングって何?、ビットコインの安全性や法整備、フィンテックの未来まで、本当に基礎から順に分かりやすく、かつ、さらっと読みやすく書かれていますので、スキマ時間にサクッと読めて知りたいことが吸収できます。

 そして、当時のビットコインをめぐる状況がどうだったのか、2022年のいまだからこそ当時を振り返ることで、フィンテックの進歩や金融業界の変遷を感じることができ、とても面白く感じました。

分散型でかつ進化するシステム

 少し本書の内容に触れてしまいますが、まずなによりすごいのは、ビットコインのシステムの作られ方だと思います。ビットコインはサトシ・ナカモトという人物が書いた1本の論文がもとになっており、そこに書かれた内容に興味を持った人たちが分担してコードを書いて作り上げたオープンシステム。それが、こうして仮想通貨として世界中に広がることになったことに、単純に感動します。なんというか、モノをつくる、仕組みをつくるということの根底が明らかに変わってしまったんだな、と思いました。

 そして、さらに感心したのは、ビットコインは金や石油と同じように有限であること。なんとなく仮想通貨は無尽蔵に作れるのではないかと考えていましたが、ちゃんと有限に設定されており4年に1回の半減期があることで、価値の維持が仕組まれているという点です。これを考えた人たち、クールすぎませんか?

 ビットコインを掘り当てることをマイニングというそうですが、ビットコイン自体はユーザー相互の認証によってブロックチェーンをつなげていくという仕組みで成り立っています。マイニングはこの作業を10分ごとに行い、ブロックチェーンの鍵を1番に発見できた人にコインが付与されるというシステム。とにかくコンピューターをハードに動かしまくる作業のようです。このあたりも、何というか、ある意味、生物的で物質的な感じが面白いと思います。

金融業界とフィンテック

 様々な仮想通貨が登場している現在、こういった金融まわりのテクノロジーフィンテックといって色々なベンチャーができています。本書の書かれた2017年当時から比べて、今は当たり前のように電子マネーを使っていますし、なんなら現金を持たなくても十分に生活できそうです。金融業界そのものも、コロナの前と後では大きく様変わりをしたように感じます。本書で2017年当時に書かれていた展望が、かなり加速して現実になっているように思います。たかだか5年前のことですが、もう5年前には戻れないな、という感じです。

 そういえば最近は銀行に行かないですね。金融という仕組み自体、またそれを中心に据えていた経済自体が、変わりつつあって、私たちユーザーは気づかないうちにどんどん未来に流されているのだろうな、と思います。そして、こうした流れ自体も、例えば今のエネルギー問題や地球温暖化、戦争や疫病によって、また違う形に変わっていくのだろうと思います。

 人が作り出した「お金」、その概念を新しい形で定義しようとする「仮想通貨」、それを生み出す分散型の「システム」、集合する「知」、進化していく「テクノロジー」。やはりなんだか生物的であるような…。読後にもやもやとそんなことを考えた週末でした。

 

2022年7月10日 読了

廣中直行・遠藤智樹『「ヤミツキ」の力』_感想

 

ハマる幸せ!

「やみつき」とは、もともと病んで床につく重症の病気状態を表す言葉だそうですが、現代で「ヤミツキ」と言えば、何かに夢中になって毎日繰り返してしまうようなハマる状態のことを言いますね。

本書は、そのヤミツキをポジティブに捉えて、生きる原動力や成長を促す重要なファクターとして心理学や社会学的な見地から分析しています。まあ、とにかく読みやすくて面白いので、難しい理論は無しに素直に理解できる内容です。

「ヤミツキ」=何かに夢中になることは単純に幸せですよね。周りのことを気にせずに自分だけの世界で好きなものに没頭する贅沢、誰もが求めている至高の時間の使い方ではないでしょうか。本書では、ヤミツキを「感覚の快」「運動の快」「認識の快」と分類して、なぜ気持ちがいいと感じるのか、快がもたらす達成感やモチベーション、浸る状態のフローなどについて実例も交えながら解説しています。

ヤミツキで自己肯定感UP

例えば仕事で嫌なことがあっても(嫌なことは頻繁に起こるものですが)、一日のスケジュールを終えて帰宅して、一息ついた後の自分時間に好きなことをすると、エネルギーが回復するのを感じます。その時間になって、やっと自分自身を取り戻せたように感じます。自分の好きなことを誰にも否定されず、自分のペースで黙々と取り組むこと、まさにこれがヤミツキの本質なように思います。

本書では、好きなことに集中して取り組むことで得られる根気、失敗しても乗りこえる力、遊びの気持ちなどが絶大なパワーを与えてくれていると書いています。確かに、なぜそれにハマるのかはよくわかりませんが、ハマったことに対しては面倒くさいとかやる気が出ないとかいうことは全くなくて、大変なことでも率先して行動してしまうような、訳のわからないパワーが内在していますね。

なんとなくですが、私たちは何かに夢中になっている自分が好きなのではないでしょうか。周りが見えないほど集中する自分、時間を忘れるくらいの楽しさ、こうしたハイの状態が脳内にドーパミンを分泌させ、「快」をもたらすとともに、自分というものの本質を分からせてくれるような気がします。

人と共有する「ヤミツキ」

そして、自分の好きなものを同じように好きな人とつながりたい、という欲求もとても大きなものだと感じます。本書では、宗教的な祝祭とトランス状態、各地に伝わる芸能文化に触れ、一つのことに大勢の人間が集中してつながることの意義を書いています。

まさに、現在はSNSなどでそうした負のエネルギーが簡単に放出されているように思いますが、「ヤミツキ」は一つの社会性をもたらす原動力にもなっているのだと感じます。好きなもので世界とつながりたい。この欲求は皆さん持っているのではないでしょうか。その世界が友人や家族かもしれませんし、はたまたスマホの画面の中かもしれませんが、いずれにしても社会を動かす大きなムーブメントになる可能性があります。

まさに「ヤミツキ」の力、というか、「ヤミツキ」になりたい人間の欲望みたいなものを感じて、なるほど、と納得してしまいました。

皆さんも、好きなこと、繰り返し毎日やってしまうことがありますよね。それは非常に個人的なことですが、あながち社会と無関係でもないのです。個々の原動力があってこその社会ですよね。今日も思う存分、好きなことに浸って、生きるパワーをチャージしたいと思います!

 

2022年6月25日 読了

上岡正明『自分のやりたいことを全部高速でかなえるメソッド 高速仕事術』_感想

 

インプット過多な私たち

いわゆる仕事のノウハウ本だと思って読み始めましたが、著者が伝えたいことは本当にシンプルで、おそらくどんな職業の方も納得して実践できることが書かれています。

まず、最初に思ったのは、私たちは随分とインプット過多になっているな、ということ。そうじゃない方もいらっしゃるかもしれませんが、何かを始めるときには、とりあえずネット検索する・動画を見る・人に聞く・資料を探す…それから少し情報を整理して、損得を考えたり、メリットやロスを考えたりして、結局は実行しなかったことの何と多いことでしょう。こうして失敗や時間のロスを避けているわけで、自己防衛としては意味があるようにも思いますが、どんなことも「まず、やってみる」ことが大切だと著者は言います。

高速で仕事を回すための何か特別な秘訣があるわけではなく、どんなことも、まずやってみて、失敗して、修正して、またやってみる、その繰り返しをいかに速く回すか、という方法がひたすら書かれています。

今は情報にあふれていますので、はじめの一歩を踏み出すのが、逆に難しくなっていると感じます。知識はたくさん、その分だけ心配や不安もたくさん。メンタルがよほどタフでないと、分かっていて敢えて失敗するということは難しいと思いますが、失敗から学ぶことの価値は計り知れませんね。転んだら起きればいいじゃん、と思えば気持ちも軽くなります。

トライ&エラーが認められる職場に

一方で、職場の環境も大切です。失敗から学ぶことで仕事を回していくには、まずはトライ&エラーが受け入れられる職場でないといけませんよね。常に思っているのですが、とにかく若い方たちには、少し難しいことに挑戦してほしいですし、上司には部下がやってみて出来なかったことや上手くいかなかったことがあっても、責めるのではなくて成長を促すように関わる技量が求められています。

前例のないことでもいいじゃない?考えるよりやってみたらいいんじゃない?

自分自身にも、自分の部下にも、そんな風に伝えているだろうかと少し反省してます。もちろん、取り返しのつかないような大きな失敗は避けないといけませんが、石橋も叩きすぎていては壊れてしまうし、時間がたてば腐ってしまいます。見切り発車が必要な時もあります。情報や知識に溢れすぎている今だからこそ、この感覚は大切だなと思いました。

一点集中のフォーカス力で

マルチタスクをしている方が、働いている感がありますが、実は効率が悪くて何も終了できないまま一日が終わってしまうこともよくありますよね。著者は、とにかく一つのことに集中して、まずはアウトプットを出してみることが重要だといいます。形にしてみて初めて気が付くことや見えてくる課題も多いものです。人間の頭のキャパなんてたかが知れてますので、とにかく外に出して見てみるのが良いようですね。知識も吸収したら放出するのが良いようです。こうやって読書の感想を書くのも、多分、良いと思います!

まだ自分が仕事を覚えたばかりのころに、寝ても覚めても仕事のことばかり考えていたことを思い出します。その仕事は少し大きな案件で、そのころの自分には手一杯で、今から思うとかなりのストレス要因でしたが、まさに寝ても覚めても集中していました。確かに、あの時に自分は成長したんだろうなと思います。

一点集中、ベテランになればなるほど雑念が多くなって難しいことですが、忘れないようにしたいと思います。逆に、本当に集中できる仕事に取り組めているのか、反省する必要もありそうです。

読後に、何故か仕事をしたくなってしまう不思議な本です。初心にかえって難しいことにチャレンジしてみようと前向きになれる良書でした。

 

2022年6月10日 読了

石黒 浩『ロボットと人間 人とは何か』_感想

 

ロボット研究を通して人間を知る

著者は、自身をモデルにしたアンドロイドを製作したことで一躍有名になられた方です。ロボット研究の世界的第一人者ですね。本書を読むと、そんな石黒先生が、なぜ人間とよく似たロボット、アンドロイドの製作に拘っておられるのかがよく解ります。

なぜ人間型ロボットが必要なのか…それは、人間は人間を認識する脳を持ち、ロボットを開発することで人間を理解することができるから、著者の研究の目的は「人間を知ること」だというわけです。

確かに私たちは、ずっと人間について考えてきました。知りたいと思っているけど、一番わからないものが人間ではないでしょうか。まるで鏡を見るように、人間に似たロボットを通して、人間の姿を知り、心とか感情とか、そういったつかみどころのないものがどこから生まれて、どのように広がるのか、そうした研究の一端を本書を通して知ることができます。

自分の言葉で話しているようで、実はそうでもなかった

どの章も非常に面白くて納得する内容なのですが、特に面白いなーと感じたのは、後半の「対話とは何か」「体とは何か」というセクションです。

アンドロイドは、会話のパターンをあらかじめいくつかプログラムしておいて、相手の発話に合わせて、蓄積した言語の中から言葉を選択して会話を進めます。意外なことに、私たちの会話も、相手の話をすべて理解していなくても、なんとなく話がつながりますし、自分の言葉もオリジナルなのかというと、今朝見たニュースの一部だったり、昨日読んだ本の一説だったりと、そのほとんどか、自分以外のどこかから仕入れてきた言葉でできています。「対話とは、言葉の意味を理解して応答することではない」と著者はいいます。確かに、その通りですね。言葉を通して、自分以外の誰かと時間を共有しているのが対話なのかな、と思います。その相手がAIであっても、十分に機能するわけです。

また、体の感覚というものについても不思議だと思いました。アンドロイドを遠隔操作していると、アンドロイドの腕に注射を刺すと、自分の腕に刺されたような感覚を感じる方が多数あったとのこと。「遠隔操作ロボットは、単なるロボットではなく、操作者の体として受け入れられるロボットになる」と著者は言います。そして、脳とコンピューターとの接続が進めば「生身の体の制約から解き放たれて、自由に体を発達させることができる」と結んでいます。

進化とは何か

ここからはもうSF感が溢れてしまいますが、進化を生物学的な進化と機能的な進化に分けるとするのならば、人間は機能的な進化を様々な機器を使って、そしてこれからはAIを使って進めていくことになると思います。。もともと生物は無機物から生まれたのだから、有機物である時期を経て、また無機物に還るのではないか、つまり人間の進化は「無機物の知的生命体」に行きつくのではないか、というのが著者の考えです。

そういうSF小説がありますよね。でも現にメタバースができて、アバターで会話したり買い物したりすることが当たり前になりそうな雰囲気ですよね。いずれは「体」というものや「気持ち」とか「こころ」というものが生物由来でなくても機能しそうです。

ますます人間とは何か、を考えずにはいられなくなります。

知識の週末トリップを思う存分楽しめた良書でした。お勧めです。

 

2022年5月21日 読了

ロイ・メドヴェージェフ『プーチンの謎』_感想

 

政治の表舞台に突然現れた小役人

本書は、プーチン大統領が首相を経て、大統領代行となり、前任者のエリツィンから正式に大統領に任命されるまでの1999年から2000年の間に、ロシアのマスコミがプーチンという人物をどのように評価あるいは批判したのか、当時の混乱と期待の様子が書かれています。

もともとは地方の小役人だったプーチンが、ロシアの諜報機関KGBの将校から、異例の出世を果たして政治の表舞台に立つことになりました。ロシア連邦大統領選挙において、彼は他の候補者を大きく引き離して、約53%もの票を獲得しました。

彼の何が国民の心を捉えたのか。

そして、ウクライナ侵攻という、現代社会ではちょっと考えられないような暴挙に踏み切った今もなお、多くの国民に支持されているのは何故なのか。疑問はつきません。

ロシア経済の立て直しとチェチェン問題

プーチン大統領の最初の仕事は、チェチェン問題の解決とロシアの経済回復だったようです。本書にも詳しくは書かれていませんでしたが、人々がまず注目したのは、プーチンがどのような手腕をもってチェチェンの反テロ戦争を収めるのか、という点でした。プーチン大統領は、チェチェンで集中的軍事作戦を決行し、力によってチェチェンを制圧することに成功しました。そして彼の軍事手腕は「プーチンは約束するだけでなく、行動する」と高く評価されたとようです。

また、経済面においても非常に厳しい状況にあった当時のロシアですが、プーチン大統領は、軍事産業や宇宙産業などの主要産業を支援し、GDPの伸びを安定させたとのこと。

つまり、平和ボケしている日本ではちょっと考えにくいことですが、戦争によって国民の意思を一つにし、戦争によって軍事産業を活性化し、経済成長をもたらしたということのようです。プーチン大統領だから、そうだったということではないでしょう。戦争がお金になるから、戦争はなくならない。というのは今も昔も自明のことです。

プーチン現象

こうした成功によって、プーチンはロシア国民に権力の安定的な継承を示したと書かれています。経済危機や財政危機よりも危険なのは権力が安定しない状態であると作者はいいます。プーチン大統領は、国民に新しい時代を感じさせている、と。

さて、結局のところ、プーチンの謎は、よくわかりませんでした。

本書の中でのプーチンの人物評は、「プーチンは目立たないと同時に余人に代えがたい者になるという稀な能力」「自分ができるようにやることが重要だと考えて大統領として行動している」「プーチンは単純でわかりやすく、率直さと自然さがあり」などなど、どちらかというと几帳面な内向的な人物を褒めている書きぶりです。

ウクライナ侵攻がなされるまでは、彼を好感の持てる人物だと考えていた方も多かったのではないでしょうか。KGBの訓練所で1年生がまず行うことは、周りの人に好かれる人物になる訓練だそうです。そしてプーチンは優秀な生徒であり教師であったと。

世界は複雑で、単純なことは何一つないと思いますが、一日も早くウクライナ侵攻が終結し、ヨーロッパに平和が訪れることを願ってやみません。そのころプーチン大統領がどうなっているのか、彼を支持する人々がどうなるのか、正しい情報で理解したいと思います。

 

2022年4月24日 読了

 

 

松原隆彦『文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る』_感想

 

面白い!わかりやすい!

物理学を知っていると、見える景色が変わり、世界が変わる。

そんな前書きから始まる本書は、物理とは高校生以来、まったく関わりのない生活をしている方にピッタリの本です。読み進めるうちに、物理ってすごく面白い科目だったんだな、ということに気づいてきます。高校生の時にもう少し興味を持っておけば良かったなと反省しました。

作者は宇宙物理学を専門に研究されていて、「なぜそうなるのか」を考えていくうちに物理学にたどりついたそうです。複雑に見えることを単純な原理で説明するのが物理学なんですね。

世の中に働く力は、たった4つだけ

世界にあるのは、重力、電磁気力、強い力、弱い力 の4つだけなんだそうです。

??と思った方は、ぜひ本書を読んだ見てください。この4つの力で、世界で起こっている現象の全てが説明できてしまう、物理学ってすごいですね。

原子核の中で働く、強い力と弱い力…このあたりは1回読んだだけでは理解しにくいのですが、空が青い理由や地球外生命体は存在するのか?など、興味をそそられる内容がたくさんあります。そして、なにより、読みやすい。難しくないのでサクッと隙間時間に読めてしましますね。相対性理論もバッチリ理解できます!

観る人がいるかいないかで結果が変わる?量子論の世界

特に不思議だな、と感じたのは、量子物理学の世界です。量子は、観測者が観ていないときは起こりうる可能性が同時進行している。??の話ですが、気になる方はぜひじっくりと読んでみてください。量子論の世界では、パラレルワールドが無数に存在して、誰かが一つの現象を見るまでは、どの現象も同時に存在している…?

やはり、じっくり本書を読んでみたくなりますよね?

量子コンピューターが登場すればブロックチェーンは破られる

通常のコンピューターは0か1かの分岐を繰り返し走らせて答えにたどり着きますが、量子の世界では、現象が一つに決まっておらず、平行して同時に存在するため、量子コンピューターでは、0でもあり1でもあるという状態を並行して計算することができるため、通常は不可能とされる計算をこなすことができるそうです。(書いていても実はよくわかっていませんが)

そのため、複雑な素因数分解を暗号としているブロックチェーンであっても、量子コンピューターであれば解読できてしまうかもしれないのだそうです。まだ、そういった量子コンピューターは開発されていないそうですが、理論上は不可能ではないわけですね。

先日、北朝鮮ハッカー集団がオンラインゲーム上の仮想通貨を略奪しているというニュースが流れていましたが、もしかしたら…と思うと怖いですね。

自分とは全く無縁の世界だと思っていた物理学ですが、知ってみると、なかなかに奥深くて感心しました。知ることは楽しいですよね。

これからも色々な分野を覗いてみよう、と思いました。

 

2022年4月16日 読了