ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

竹内 薫『怖くて眠れなくなる科学』_感想

気軽に触れる科学

眠れなくはなりませんし、そんなに怖くもありません。逆に、気軽な読み物として、頭を使いすぎることもないので睡眠前のベッドのお供にちょうど良い本です。

書かれたのが2012年と少し古いので内容も今の科学から見ると物足りないところがありますが、小学生くらいでもサクサク読めると思いますし、科学やテクノロジーにアレルギーがある方も気軽に手に取りやすい内容です。

本書で紹介されている科学のエピソードを入り口にして、もう少し詳しく知りたいな、と思わせられるので、そういう点では作者の意図が成功しているように思います。

本当は大切な「恐怖」という感情

プロローグで触れられているのは、「恐怖」という感情について。

恐怖は大きなストレスになるので、私たちはなるべく恐怖や不安を感じずに生きていきたいと思っています。嬉しい感情はすぐに忘れてしまいますが、恐怖体験や悲しい気持ち、不安や怒りは長く私たちの中に残ってしまいます。これは、生物が危険から身を守るために「恐怖」をきちんと覚えておくことが大切だったからにほかなりません。

夏になるとホラー映画がみたくなる、お化け屋敷に入ってみたくなる、肝試しをしたくなるなど、ドキドキして心拍数を上げたくなるのは何故なのでしょうね。日常生活ではなるべく平常心で過ごしたいと思っているはずなのに。

本当の恐怖は味わいたくないけれど、安全な場所から恐怖を疑似体験したい、そういう欲求があちこちにあるように思います。人の不幸を見て、不幸ではない自分を感じて安心するのと少し似ていますね。

ギロチンは痛みを最小限に抑える処刑方法だった

本書では、たくさんの科学エピソードが紹介されています。ブラックホールなどの宇宙にまつわるものや、地震や火山に関すること、人の体に関することなど、知っているようで知らないことが意外とたくさんあって、面白く読めました。

なんだか雑学が増強されたような気がします。

そして、その時代その時代の科学者たちが、世界をよりよくするために解明されていない科学という謎に挑んでいたことが分かりました。今となっては古い知識もありますが、それすらも、たくさんの「発見」の積み重なりで明らかになったものであり、英知の探求というのは本当に奥が深いな、科学って面白いなと思いました。

たまにはスマホを置いて、枕元に軽めの本を。頭と心に栄養を。

 

2022年8月13日 読了