ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

越川慎司『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』_感想

 

自由と責任を得るために

最近、働くことの意義を問い直す風潮がありますよね。「何のために働くのか」ということに焦点を当てた本がたくさん出ていますが、本書は、簡潔で読みやすく内容も納得する部分が多くある良書です。

読んでいて、今の自分の立ち位置を再確認することができましたし、「過程よりも結果を重視する」など、成果を残すために必要なマインドを改めて認識しなおすことができました。

トップ5%というと、なんとなく一部の「デキる奴」=「ちょっとイヤな奴」みたいなイメージがあると思います。自分もデキる奴になりたいとは思うけど、羨望と同時に嫉妬を感じて、真似するのをためらうところがあります。要領が良くて世渡り上な人というイメージかもしれません。

本書では、著者が様々な企業の社員1万8千人の行動をデータ化してAI分析を行った結果、成果を出している人の行動の特徴を紹介しています。また、実際にインタビューなどを通して、成果を出している人の考え方や、話しぶり、口癖なども分析されています。仕事の流儀やマインドを書いているビジネス本はたくさんありますが、本書は、客観的なデータに基づいて分析されているという点が、読んでいて納得感が違うな、と思いました。

社内での自分の役割について、なんとなく納得がいかないところがあって、何のために上司の評価を得ようとしているのか自分でも分からなくなっていたのですが、「評価の高い社員は会社や上司から「自由と責任」を得ることができる」という一文を読んで、妙に納得してしまいました。

そうだった。自分の選択肢を増やすために、仕事を頑張っているのでした。

失敗することのメリットと挑戦しないことのデメリット

上位5%社員の行動や考え方が色々と紹介されていますが、印象に残ったのは、新しいことに挑戦することにも挑戦しないことにも同じようにリスクがあり、デキる奴は、新しい事に挑戦して失敗することによって学習し、やり方をを修正して次の成功の確率をあげていくのに対して、残念な社員は、そもそも失敗を恐れて新しいことには挑戦しないので、「周りの変化に対応できない、成長できない」というリスクを知らず知らずのうちに選んでいる、という点です。

挑戦すれば失敗する可能性はありますが、必ずそこから学べることがあります。一方で何もしなければ、失敗もしないけれど成長もしないので、結果的に自分の価値が周りに比べて相対的に下がっていくというわけです。

どんなことにも多少のリスクはあります。どうしても初めてのことや、不慣れな分野のことは気が進まないし、踏み出す勇気がいりますが、著者は、最初に目的がわかっていれば、どのように行動すべきか前向きな姿勢になれる、と言います。

やってもリスク、やらなくてもリスク、なのであれば、まずは自分を信じて挑戦してみるのか早いかもしれないですよね。不安に思って迷っている時間が一番のロスだな、と今更ながら気づきました。

目指せ!「自己選択権」

著者は、今目指すべきは「働き方改革」ではなく、「会社の儲け方改革」と「個人の稼ぎ方改革」だといいます。

社内で評価を得ることで自由と責任を獲得でき、自分のしたい仕事ができるようになります。短い時間でより多くの成果を残せば、自分の市場価値が高まります。効率よく仕事をすれば、空いた時間を活用して、さらにスキルアップを図ることもできます。こうしたことで、昇進や副業、起業や転職など、未来の選択肢を複数持つことが可能になります。

人生100年時代、定年退職も65歳になりますが、おそらく、これから先は、70歳とか75歳とか、死ぬまで現役で働く時代になるのではないかと思います。そうした未来に向けて、自分自身の「自己選択権」を持つことはとても大切だと思いました。

いくつになっても、なりたい自分、なりたい未来、を選ぶことのできる「デキる奴」を目指していこうと思いました。ちょっと、仕事でモヤッとしている時に勇気を与えてくれる良書でした。

 

2023年2月14日 読了