相手が求めているものを与えるだけ
本書はどうしたら人とより良い人間関係が築けるのか、コミュニケーションのポイントを分かりやすく伝えています。内容はとてもシンプル。人間の習性をよく理解し、相手が求めている言葉や態度を取るだけで、人との関わり方に自信が持てるようになる、そんなハウツー本です。サクサクと読めて、すぐに実行できそうなことがたくさん紹介されていますので、ちょっと人間関係に疲れた時に、ちょっと自信を無くしてしまった時に読み返すと、明日からも頑張ろう、という気持ちが湧いてくるのではないかと思います。
まず、人間の習性について。自分は他人に何を求めているのかを考えてみます。すると、多くの場合、私たちは他人に良く見られたい、すごいと思ってほしい、褒められたい、という気持ちを持っていることに気づきます。すべての人は自分の自尊心を大切にしてほしいと願い、それを傷つける人を敵だとみなすのだと著者は言います。
人間関係の4つのルールでは、
1.すべての人は自分本位である
2.すべての人は自分に最も関心がある
3.すべての人は自分が重要だと感じたい
4.すべての人は他人に認められたい
これを踏まえて、相手の自尊心を満たす言動をとることができれば、満たされた相手からも同じように大らかな言葉が返ってきて、人間関係が円滑になるというもの。
確かに、自分自身も含めて、大体の人は上記の4つが当てはまっていますね。相手は常に自分ファーストなのだということを念頭に言葉や態度を選べば良いというわけです。
正論を説いても仕方がない
正しいことを主張したからといって、相手がそれに従うことはまずありませんよね。正しいことを言われれば言われるほど傷ついて拗ねていくのが人の心です。そんな時は、相手の自尊心を満たす発言をするのが効果的なようです。
でも、小手先だけで相手を褒めたり、おべっかを使おうとするとどうしても無理が出てきます。思ってないことは言えないものです。著者は、まず、自分自身の考え方を変えることが大切だと説きます。
ルール1 相手を重要な存在だとみなす
ルール2 相手に注目する
ルール3 相手に対して威張らない
そして、相手にとって欲しい態度や行動をまず自分がとること。自分が静かな声で話せば相手の声も穏やかになるし、自分が熱意を持てば相手にもヤル気が伝播するし、自分が自信を持てば相手も自分を信頼してくれるのです。
魅力的な性格とは
容姿はともかく、なれるものなら魅力ある人物になりたいものです。著者は、すべての人は自分を大切にしてくれる人を好むのだと言います。相手のことを見ていますよ、受け入れていますよ、という態度をとることが大切で、その一つが「相手の話を聞く」ということだと言います。
相手の話に耳を傾ければ、相手が何を求めているのかがわかるだけでなく、相手を受け入れていることを態度で示すことにもなります。静かに人の話を聞いている人は、自分のことばかり話す人よりも10倍くらいは魅力的です。
会議の場でも、反対意見にもしっかりと耳を傾けて、感情ではなく事実だけをもとに検証して、100%相手を負かそうとか自分の意見を貫こうとはせずに、相手の面子をつぶさないように結論に持っていけたら…たちまち仕事が片付きそうな気がします。
大切なのは、相手を認める余裕を持つということでしょうか。そのためには、自分自身がなりたい自分でいられるように態度や行動を改めて、自信をつけていくことが必要なのだと思いました。人間関係が上手くいけば、仕事の半分くらいは成功したようなものです。人間は他人との関係の中でしか生きられない存在だからこそ、人間関係を円滑にする努力を忘れてはならないのだと思いました。
さっそく明日から、まずは家人を褒めてみますか…。
2023年6月8日読了