ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

佐藤孝幸『仕事と勉強を両立させる時間術』_感想

 

目標達成したいなら短期間で全力投球

 ちょうど今、MLBワールドシリーズを見ているので「全力投球」という言葉の意味をあらためて噛みしめているところですが、本書は、働きながら米国公認会計士資格を取得し、帰国後には司法試験に挑戦し、たった2年で弁護士資格を取得した著者による勉強や仕事に取り組むときの心構えが書かれた本です。

 著者の教えは、とにかく「時間を無駄にしないこと」「流行や周りに流されないこと」「失敗を次に活かすこと」。特に時間に対する意識は、自分自身の日々の時間の使い方も含めて反省する点が多くあると感じました。大きな目標を達成するためには、それなりに時間が必要だと考えがちですが、著者は「目標を達成してやる」というモチベーションは長く維持できるものでは無いので、短期決戦を目指すべきと説きます。私たちは勉強に取り組む時間さえあれば、出来るはずだと思いがちですが、実際は、時間があればあるだけダラダラと使ってしまい結果に結びつきません。時間を限った中で一生懸命にやることで、意識が高まり吸収力も高くなると著者は説きます。忙しいビジネスマンが仕事や勉強に取り組む姿勢は「太く短く」が正解のようです。

面倒くさいと言わない

 目標を達成するためには必要な工程であったとしても、どうしても気が乗らない作業というものがあります。手間のわりに意味のないことや、成果がすぐに見えないことなど、それらを止められるのであれば思い切って止めるという選択肢もありますが、避けられないことであるならば、考えている時間を惜しんでさっさとやってしまう方が良と著者はアドバイスしています。あまり気が進まないからこそ、だらだらと引っ張らずに短時間で集中して片付けてしまうのが鉄則。いつもまでも、面倒くさいな、やりたくないな、と思い続けることは自身のストレスになります。嫌なことはさっさとやってしまうのが精神衛生上も良いようです。

 また、もう一つ、面倒くさいことをダラダラと引きずらないためには、短時間で片付かない或いは何かしっくりこないのであればあっさりと捨ててしまう、やり方を変えていくという損切りの見極めも必要だということです。短時間でどんどんやって、上手くいかないとは捨てて別のやり方を試してみる、このサイクルを早く回すことが結果的に限られた時間で成果を出すことにつながるのではないかと思いました。

ストレスは発散してもフリーにはならない

 また、著者は公私の時間の使い方の部分で、中途半端なワークライフバランスは辞めてしまえ、と言っています。仕事でストレスが溜まるので、飲んで発散、旅行に行って発散、週末にゆっくり休んで発散、という風にバランスを取りがちですが、ストレスは発散できても、ストレスの元になる仕事や勉強から逃れられる訳ではないことを著者は指摘しています。ストレスから解放される唯一の手段は、それを終えてしまうこと。目標を達成すること。ストレスを感じる、嫌だ嫌だと思うのであれば、そこから目をそらすのではなく、何か一つでも前に進む方法を考えて実行する方が有益です。たとえ上手くいかなくても、動いているうちに解決策が浮上することもあるものです。止まらずに動き続けることも、限りある時間の中で目標を達成するためには重要な要素だと感じました。

 時間というのは不思議なもので、時には私たちの味方になってくれますが、時には残酷な仕打ちを放ちます。冒頭に著者も述べていますが、時間ほど有限で貴重なものはないはずなのに、なぜか、それを忘れて無限にあるかのように錯覚してしまいがちです。時間を有効に使うためには、迷った時も嫌な時もストレスフルな時も、止まらずに一歩を試し続けること、失敗しても気にせずにトライ&エラーで動き続けることなのではないかと思いました。日々の仕事で成果を出したい人、目標を達成したい人を後押ししてくれる良書だと思います。読みやすくコンパクトにまとまっている点も、時間を無駄にしないという意思が伝わってきて好感が持てます。さて、今日の午後から全力投球で何をしましょうか。

 

2025年11月2日 読了