ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

成毛 眞『アフターコロナの生存戦略』_感想

 

変化を楽しむために

 アフターコロナの時代を生きるための心の持ち方というか、ちょっとしたアドバイスが書かれた本です。サクサクっと読めて、読後になんとなく前向きな気持ちになれる本だと思います。

著者は元マイクロソフト社長ということですが、文章は柔らかくて難しい表現もでてきません。これからの経済のこと、働き方のこと、趣味を持つことなどが著者の経験も交えてサラッと書かれています。

まず、コロナは予想もしなかった大きなインパクトだったわけですが、コロナのおかげで無駄な出張がなくなり、やらなくても良い会議が減り、手抜きをしても問題がない事がわかりましたよね。コロナが収束しても私たちは3年前の意識には戻らないと思います。そうしたなかで、コロナ禍は、確かに禍ではあったけれど、それをステップと捉えて前向きな生き方をしよう、というのか本書の趣旨だと思います。

変化に翻弄される期間は終わったので、これからは変化を積極的に楽しんでいく時代を生きようよ、ということですね。

これからの遊び方、地頭力の時代                                       

本書の中で激しく共感したのは、これからの遊び方と学び方の章。

まず一つには、これからの長い100年人生において、「遊ぶ」ということが重要になるという点。「遊ぶ」=趣味を持つ、ということで、何でもいいから、続かなくてもいいから、自分の興味を持ったことを気軽に始めてみるのが良いようです。やってみたいけど、お金がないとか、時間がないとか、場所がないとか、機会がないとかいって、やらないことの何と多い事でしょう。幸い、コロナの副産物として、オンラインで大学の正規授業も履行できるようになりましたし、その気になれば世界中の人とつながることも可能になりました。時間と場所のハードルは確実に下がりましたよね。

例えば仕事をリアタイアしてからとか、子育てが一段落したらとか、そうやって何でも先延ばしにしがちですが、人生100年時代だからこそ、今、自分が興味を持てることがあるのなら、今挑戦してみるべきだということが分かりました。

それから、これからはとにかく地頭力の時代だと著者はいいます。知識はすでにAIでカバーできてしまうので、覚える必要がありません。語学ですら、翻訳機能で大部分がカバーできます。子どもには、もちろん国語算数理科社会など、社会の基本的な考え方を身に着けさせることが大切ですが、それと並行して、様々なことを経験しておくことが、これからはますます重要になると思います。

場所に投資する

著者の提唱することのなかで、「自分が快適にすごせる場所に投資する」という考え方も新鮮でした。著者は祇園お茶屋で一晩に10万以上を使うけれど、来ているセーターはユニクロ、という考え方の人。お金の使い道を「投資」だと考えてみると、消費の意識が変わると思いました。例えば、衣服にしても、ここぞという時に着ていくスーツは上質の生地で仕立ての良いものを買いたいと思うのですが、それは自分がそのスーツを着て過ごす時間への「投資」になるわけです。ビジネスの場であっても、プライベートの場であっても、おそらく一張羅のスーツを着る場面というのは、自分にとって大切で貴重な時間と場所なわけですから、そこにお金をかけることは、自分自身の可能性を広げるために投資してることと同じなのだな、と思いました。

同じように考えると、食べ物であったり、旅行などの体験であったり、なんでも自分への投資だと考えてお金を使うようにすると、自然と豊かになるように思います。

変化の激しい時代だからこそ、まずは自分自身に投資をして、よく遊び、良く学び、よく働く日々にしたいと思いました。

 

2023年1月28日 読了