ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。ビジネス書が多いかな?

ロイ・メドヴェージェフ『プーチンの謎』_感想

 

政治の表舞台に突然現れた小役人

本書は、プーチン大統領が首相を経て、大統領代行となり、前任者のエリツィンから正式に大統領に任命されるまでの1999年から2000年の間に、ロシアのマスコミがプーチンという人物をどのように評価あるいは批判したのか、当時の混乱と期待の様子が書かれています。

もともとは地方の小役人だったプーチンが、ロシアの諜報機関KGBの将校から、異例の出世を果たして政治の表舞台に立つことになりました。ロシア連邦大統領選挙において、彼は他の候補者を大きく引き離して、約53%もの票を獲得しました。

彼の何が国民の心を捉えたのか。

そして、ウクライナ侵攻という、現代社会ではちょっと考えられないような暴挙に踏み切った今もなお、多くの国民に支持されているのは何故なのか。疑問はつきません。

ロシア経済の立て直しとチェチェン問題

プーチン大統領の最初の仕事は、チェチェン問題の解決とロシアの経済回復だったようです。本書にも詳しくは書かれていませんでしたが、人々がまず注目したのは、プーチンがどのような手腕をもってチェチェンの反テロ戦争を収めるのか、という点でした。プーチン大統領は、チェチェンで集中的軍事作戦を決行し、力によってチェチェンを制圧することに成功しました。そして彼の軍事手腕は「プーチンは約束するだけでなく、行動する」と高く評価されたとようです。

また、経済面においても非常に厳しい状況にあった当時のロシアですが、プーチン大統領は、軍事産業や宇宙産業などの主要産業を支援し、GDPの伸びを安定させたとのこと。

つまり、平和ボケしている日本ではちょっと考えにくいことですが、戦争によって国民の意思を一つにし、戦争によって軍事産業を活性化し、経済成長をもたらしたということのようです。プーチン大統領だから、そうだったということではないでしょう。戦争がお金になるから、戦争はなくならない。というのは今も昔も自明のことです。

プーチン現象

こうした成功によって、プーチンはロシア国民に権力の安定的な継承を示したと書かれています。経済危機や財政危機よりも危険なのは権力が安定しない状態であると作者はいいます。プーチン大統領は、国民に新しい時代を感じさせている、と。

さて、結局のところ、プーチンの謎は、よくわかりませんでした。

本書の中でのプーチンの人物評は、「プーチンは目立たないと同時に余人に代えがたい者になるという稀な能力」「自分ができるようにやることが重要だと考えて大統領として行動している」「プーチンは単純でわかりやすく、率直さと自然さがあり」などなど、どちらかというと几帳面な内向的な人物を褒めている書きぶりです。

ウクライナ侵攻がなされるまでは、彼を好感の持てる人物だと考えていた方も多かったのではないでしょうか。KGBの訓練所で1年生がまず行うことは、周りの人に好かれる人物になる訓練だそうです。そしてプーチンは優秀な生徒であり教師であったと。

世界は複雑で、単純なことは何一つないと思いますが、一日も早くウクライナ侵攻が終結し、ヨーロッパに平和が訪れることを願ってやみません。そのころプーチン大統領がどうなっているのか、彼を支持する人々がどうなるのか、正しい情報で理解したいと思います。

 

2022年4月24日 読了