ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

橋本之克『世界最前線の研究でわかる!スゴい!行動経済学』_感想

 

自分で最適の選択をしているつもりだったんだけど

本書は、「行動経済学」という「心理学」と「経済学」を合わせた比較的新しい学問について、身近な例をもとに分かりやすく書かれています。なぜ、それを選んでしまうのか、どうしてそんな行動をとってしまうのか、これまで自分で考えて理解して動いていたつもりでいましたが、実は色々な行動経済学の事象に左右されていたことが分かりました。

ちょうど、春を迎えて、新しいスーツを買ったり、家具を揃えたりと出費のかさむ時期なのですが、この本を読んだおかげで、少しは冷静に買い物ができそうです。

例えば、価格の高い商品、中くらいの商品、安い商品がならんでいたら、大抵の人は中くらいのものを選んでしまう「極端回避性」など、あるあるの例がたくさん出てきます。

人間はとっても不合理

逆にこうした心理を利用して自分のモチベーションや集中力を高めることができると著者はいいます。例えば仕事の締め切りやプロセス管理法を上手く決めるだけで、楽に自分のモチベーションを上げることができます。人は新たに手に入れた喜びよりも、今持っているものを失う悲しみの方を強く感じてしまうという性質を使って、失敗したらどうしようという「損失回避」と良い結果が感が積み上がって満足感が増大する「上昇選好」を上手く組み合わせれば、難しいタスクこなしていけそうです。

こうした自分の行動の裏にある理由を知っておくことは、とても大切だと思いました。

人生は選ぶことの連続ならば

最後に著者は、「今よりも少しだけ良い世界に」という章で、個人と社会の関りについて行動経済学を通して考察しています。「ナッジ」という強制的ではない行動規範の導き方が様々な場面で取り入れられるようになってきましたが、人間の心理には、正直で公正でいたいという気持ちや、集団と同じことをして集団の中に溶け込みたい、という気持ちがあると著者はいいます。こうした心理を刺激して、経済面だけでなく社会面でも行動を変えていくことが可能かもしれません。

自分の体は自分の食べた物で、自分の価値観は自分の選んだ行動でできているのだとしたら、行動経済学を知ってよりよい選択をしていくことも自分たちにできる重要な社会貢献ではないかと思いました。

 

2022年3月12日 読了