ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

リンダ・グラットン他『ライフシフト‐100年時代の人生戦略』_感想

 

長ーい人生を生きるために

2016年に発刊されて以来ベストセラーになっている書籍ですが、ようやくじっくりと読むことができました。

本書で書かれている内容はここ数年のコロナ禍で更に加速したような気がします。医学が進歩し、人々が衣食住を満たす生活を送れるようになったことで、健康寿命がどんどん延びていて、私たちの子どもの世代には100歳まで生きる世界になっているだろう。そんな時代に今まで通りの人生設計ではやっていけないぞ。今から意識を変えて100歳まで生きる準備をしなくては。ということが書かれています。

私が特に共感したのは、リ・クリエーション(再創造)の必要性です。

人生100年となると、65歳で定年退職してる場合ではありませんね。もっと働かなくては、あまりにも老後が長くなりすぎてしまいます。自分のスキルが使えるのは今の仕事の範囲内だけで、この先、長く働くためには、もう一度、自分の身の振り方を再考する必要があります。自分には何ができるのか、強みは何か、それを考えて学びなおす時間が必要だと著者はいいます。

16年間も学ぶけど…

重要になるのは生涯教育だと思います。今の日本ではたいていの人が小学校6年、中学・高校で6年、大学で4年間は学ぶことになっていますが、それ以降は、自分を作り変えるために学ぶという行為をほとんどしていません。

仕事に必要なスキルは、どちらかというと働きながら習得していくのですが、基本的な地頭といいますか、物事の見方や考えるベースとなる思考の組み立て方など、子どものころに身に着けたはずのそういった力は、社会人になってから増強する機会はほとんどありませんよね。それでも、同じ仕事を続けるのであれば特に困らないわけですが、65歳を越えても有用感のある仕事を続けようと思うと、若い時に身に着けたスキルだけでは足りなくなるよ、ということです。

曖昧さを嫌わない態度を

例えば、今の仕事を定年退職した後に、何か違うことをして生きていこう、と思ったときに、自分の棚卸をするわけですけど、「あれ?なんもなくない?」と思ってしまいます。確かに、今の仕事ではそれなりに経験もあり、家族もいて、衣食住も足りているし、特に不満はないわけですが、その枠組みが外れたら、自分の価値ってなんだろう?と途端にわからなくなってしまいました。

新たな自分探しが始まるわけですね。

学生のころ、まだ何もなかった自分に大きな不安を抱えていて、仕事や家族を持つようなって、選択肢が少しづつ削られてきて、ようやく安心していたのですが、今度はその逆バージョンを生きるということです。持っていたものを少しづつ手放して選択肢を増やしていくという。

そして、リ・クリエーション(再創造)には、曖昧さを嫌わない態度、柔軟性、未知の活動に前向きな姿勢が大切だと著者はいいます。硬くなった頭をほぐさなくてはいけませんね。

幾つになっても新しいことを

学びなおしと言いましても、何から始めたらよいのかわかりませんが、とりあえず手っ取り早いのは「本を読むこと」「仕事関係以外の人と交流すること」かな、と思います。自分はこうである、こうでなくてはならない、という殻を取り払ってしまえば100年ライフも悪くないと思いました。

長い人生を幸せに生きるために、もう一度漂流したり迷ったり無駄なことをしたりする準備をしようと思えた書籍でした。

 

2022年1月15日 読了