ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

淀川長治『映画の部屋』というわけで映画は、なんて話し上手なんでしょう。_感想

とにかく映画が観たくなる

淀川長治さんをご存じない若い方もおられるかもしれませんね。

昔、日曜日の夜は家族そろって日曜洋画劇場を観るのが定番だったころ、毎週、軽妙な語り口で映画の紹介をしてくれて、終わった後はくどくないのに心に染みる解説をしてくれるオジサンが淀川さんでした。淀川さんの解説があるのとないのとでは、映画の楽しみが倍以上違うように思います。

この書籍は、淀川さんが新作映画を紹介されていた番組「映画の部屋」の収録から、選りすぐりの映画が掲載されています。

文字を読んでいるというよりは淀川さんの軽快な語りをそのまま聞いているような感じで、ちょっとニヤニヤしながらすいっと読んでしまいました。

本書ではジャンルに分けて30本の映画が紹介されています。1990年発行ですので、そうとう古い映画ばかりですが、どの解説も映画愛にあふれていて、とにかく映画が観たくなるんです。作品のセレクトがどれも素晴らしいと思うのですが、私がもう一度観たくなったのは『ラストエンペラー』『月の輝く夜に』、まだ観たことがないので観てみたいのは『愛と野望のナイル』『グローリー』ですかね。

家族で映画を見ていた時代

ここ数年はコロナ禍ということもあり、映画館に足を運ぶ機会がめっきり減りました。今は映画館に行かなくても自宅で色んな映画が簡単に楽しめる時代ですが、映画をもっと身近に感じていたのは、映画館やテレビで家族で画面を観ていた時代だったように思います。

うちの両親は揃って映画好きだったので、007シリーズのほとんどは近所の映画館で観ましたし、大人の男女がベッドで何をするのか初めて知ったのは映画でしたね…

まあ、映画を観るのは数少ない娯楽だったわけですが、大人も子どもも関係なく銀幕に夢中でした。映画の中で胸躍る冒険をしたり、恋人にふられて傷ついたり、戦争で誰かを失ったり、どうしようもなく死にたくなったり、宇宙人と交信したり。そんな体験を家族と一緒にしてたのが映画館だったり日曜洋画劇場だったりしていました。

今は、家族でテレビを見ることも少なくなりました。自分の好きなコンテンツを自分だけの端末で自由に見ることができるなんて、昔では考えられない贅沢なんですけど、昔のほうが映画が面白かったな。淀川長治さんもいたしな。というのが正直な感想です。

さて、何 を観ようかな

本書を読んで、久しぶりに映画の魅力に気づかせていただきました。なんだか、不思議なんですが、本当に画面で淀川さんの語りを聞いているような気分で、これから映画が始まる前のポップコーンとコーラを抱えている気持ちになって読了しました。

今日は多分、映画を観ると思います。

それでは皆さん「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!」

 

2022年1月10日 読了