ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

長谷川嘉哉『一生使える脳 専門医が教える40代からの新健康常識』_感想

 

40代、50代の過ごし方を考え直す機会に

 40代ともなれば、仕事も家庭もある程度のところで安定してきて、平凡な日々の繰り返しがそれなりに心地よいと感じる世代になってきますよね。この書籍は、超高齢化社会を健康に生き抜くために、この安定してきた40代、50代のときから「一生使える脳」の準備を始めるべき、とアドバイスしています。著者は認知症の専門医で、数多くの認知症患者や高齢者の看取りをされてきた経験から、自身の生活の中に「脳を鍛える」活動を取り入れて実践されています。どの項目も分かりやすくまとめられ、直ぐにでも生活に取り入れられそうなアドバイスが満載です。そろそろ人生の安定期に入った方にお勧めの書籍です。

アウトプットを意識しながらインプット

 一生使える脳を保つポイントは、脳と体と環境を整えること。脳も筋肉と同じで使わなければどんどん衰えていきます。例えば、読書をするとしても、読んで得た知識をそのままにするとすぐに忘れてしまいますが、こうしてブログに書くとか、メモに残す、人に話すなどの行動をすると、頭の中で整理されて長く記憶に残ります。

 この短期記憶と長期記憶を結びつける働きをしているのがワーキングメモリです。情報を取捨選択して保存し次に必要な時に使えるように脳内に格納してくれる働きです。脳の衰えとは、ずばりこのワーキングメモリの働きが悪くなってしまうことのようです。脳の中で記憶の回路を一度作っておくと、忘れた知識もちょっとしたきっかけで思い出したり、他のアイデアをと結びつけたりして再び活用できるようになります。インプットするときは意識的にアウトプットすることを考えて、別の行動を組み合わせるとワーキングメモリの働きが促されるのですね。

 またワーキングメモリのキャパは大きくないので、たくさんのことを同時並行に行うよりも、一つ一つを短時間で処理して、どんどんメモリ容量を作っていく方が良いようです。マルチタスクよりもシングルタスクを短時間で片づける、気が付いたことは直ぐにその場でやってしまう、後に回さない、という行動力がワーキングメモリの動きをよくする秘訣のようです。

身体を整えると脳も整う

 次に大切なのは身体を整えること。脳も身体の臓器の一つなので、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、過度の喫煙や飲酒などは、その働きを悪くしてしまいます。また、生活習慣病を予防するためにも適度な運動が大切ですが、身体を動かすと脳も活発に動き出すということですので、脳のためにもウォーキングやストレッチなどの軽い運動を行うことが重要です。

 具体的な対応として、食事では、タンパク質をたくさん摂るように心がけて、例えばチャーハン+ラーメンみたいな糖質+糖質の食事をさける、運動では軽い有酸素運動やストレッチを習慣にする、などのアドバイスがあげられてます。無理な食事制限や運動をするのではなく、少しだけ身体を動かして健康的なメニューを選ぶように心がけるだけでも、脳の衰えを先送りにできるのですね。

外部の脳を上手く活用する

 最後の章では、もう一つの秘訣として、スマホなどを自分の外部の脳として上手く活用していくことが挙げられています。全部を自分の脳で処理する必要はないので、例えば仕事の場でも、この分野は若手の〇〇さんに任せて自分は全体の進捗を管理するみたいな、マネージャー的な動きをすることがあると思いますが、同じように外部に任せられる環境を上手く活用することが重要だといいます。分からない言葉はスマホで検索すれば出てきますので、それを分からないままにせずにすぐに行動して自分のものにしてしまえば脳のワーキングメモリが他のことに使えます。

 また、環境として、豊かな人間関係を築いておくこと、睡眠をたっぷり取ることなども脳のパフォーマンス向上には大切です。人間関係では、40代ともなれば、仕事関係とか子どものPTA関係とか、関わる人が固定化されてしまいがちですが、自分よりもぐんと若い人や逆にぐんと歳の大きい人と付き合ってみる、誘われたら断らない、など意識的に人間関係を広げることが大切だと書かれています。そうした新しい出会いが脳にも刺激となって、内面も外見も若さを保てるようになるのですね。

 最近、新しいことに何も挑戦してないな、と感じたら、いつもと別の道を歩くだけでもいいかもしれませんね。40代を過ぎたら、自分の脳をしっかりとケアしていきたいと思いました。さて、散歩にでも行きますか。

 

2023年9月29日 読了