ROBOBO’s 読書記録

読んだ本の感想です。

安藤広大『リーダーの仮面「いちプレーヤー」から「マネージャー」に頭を切り替える思考法』_感想

 

仕事では「仮面」をかぶる

仕事上のリーダー的ポジションに昇進して間もない人向けに書かれていますが、内容は非常に納得、腹落ちすることばかりです。

一つには、当たり前のことですが、仕事は感情や感覚ではなくて、結果と数字で行うものだということ。部下にたいしても淡々と指示を出して、結果を確認して、次はどうするのかを聞くというマネジメントを勧めています。褒めたり励ましたり、プロセスを重視する必要はありません。

「仮面」というと、あまり良い意味には捉えにくいですが、要するに会社の中の自分のポジションを認識して、求められる「役割」を演じることが、組織を回すうえでは重要だということです。

フラットな組織かピラミッド型か

例えば、若手社員を抜擢して重要なプロジェクトを任せる、という何事もボトムアップで活性化しよう!という職場もあるかと思いますが、筆者は、やはり、組織として最後まで生き残るのはピラミッド型の指揮系統だと言います。

これには、大変同感です。ボトムアップ型とかフラット型というのは、大体が無理がありますよね。下からどんなに良いアイデアで仕事を進めてみたところで、上の人が理解しなければ、表面的なプロジェクトに終わってしまいます。上役には上役にしかできない役割があって、それぞれが役割を果たすことで組織が回るのだと思います。

自分だけが成功したり活躍したりすることよりも、組織として大きな獲物を狩りに行く、まさにここに組織で仕事をすることの醍醐味がありますよね。

とにかく一度、行動させる

言葉でどんなに伝えてみても、経験していないことは身につかないものです。部下には、とにかくなんでもやらせてみて、失敗したら責任は自分が持つ。

そんな上司に私もなりたい。

 

2022年4月10日 読了

山本康正『スタートアップとテクノロジーの世界地図』_感想

 

まさに今、知っておくべき世界地図!

なにげなく手に取って、読むというよりは眺める感じで読み始めた本書ですが、その内容はとても濃くて有用でした。まさに、今、知っておくべきテクノロジーの世界情勢が一目でわかる情報が満載です。

テクノロジー、つまり最近のAIやIoTを活用したビジネス分野で成功しているスタートアップ企業と、それらに投資するエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどの勢力構造がよくわかります。

そして、本書を読まなくても明白なことではありますが、日本という場所は、そういった新しいビジネスが生まれるには全く適さない国だということを痛いほど痛感しました。

なんだかワクワクしてくる

IT系のスタートアップが最も多いのはシリコンバレーを擁するアメリカ、続いて国策としてITに力を入れる中国です。この2つの国で成功しているベンチャーのビジネスモデルを知っておくだけでも、これから就職や起業を考える方にとっては非常に有益な情報だと思います。もちろん、そういったITサービスのユーザーである私たちも、どのようなテクノロジーが、どんな人たちによって、どのようにビジネスとして売られているのかを正しく知っておくことは、とても重要だと思います。

なにしろ、私たちはもうアマゾンやアップルなしでは生きていけませんし、知らないところでベンチャー企業の開発した新しいテクノロジーの恩恵を受けているわけですから。

本書を読み進めるうちに、すごーいとか、なるほどーとか、そういう感想しか出てこなくなります。なるほど、こうやってベンチャーは資金を集めて、会社を大きくするのか、なるほど、この投資家がこのベンチャーに投資するのは、こういう理由があるからなのか、などなど、自分とはかなり遠い世界のことですが、なんだかワクワクしてくるのが不思議です。日本の経済を見ていても味わえない感覚だと思います。

できることなら我が国にも

日本でIT系の企業が育たないのは色々な理由があると思いますし、国もようやく理系人間を育てなくてはいけないという危機感をもって、高校では情報処理という科目が必修化されるようですが、そういった人材育成も大切ですが、まず取り組むべきは日本の法律の見直しだと、本書を読んで強く感じました。

ですので、必要なのは理系人間の前に、法律に明るい方々、そして法律を速やかにより良いものに変えていける優秀な官僚ではないかと思います。正しく言葉を扱える人がいつの時代も重要なのは変わらないですね。

ぜひ、今のテクノロジーの世界感を知っていただきたい、お勧めの書籍です。

おしゃれな横向きなのでちょっと読みづらいのが難点でした。笑

 

2022年3月27日 読了

 

山竹伸二『ひとはなぜ「認められたいのか」ー承認不安を生きる知恵』_感想

 

自由という不自由

自由に生きられるはずなのにかえって自由に行動できない現代社会。何者になってもいいという「自由」が与えられれば与えられるほど「何者にもなれない」ことに悩む人が増えているように思います。

本書の語り口は、丁寧で分かりやすく、読み進めていくうちに、著者と一緒に「人はなぜ認められたいと思うのか」ということをじっくりと考察していくような気分になります。

子どものころに親や教師などの親しい大人から、「何者でなくてもあなたは大切な人」と認めてもらった経験が「自分はこれでいいんだ。これが自分なんだ。」という自己了解を得る力になると書かれており、これは本当に大切なことだな、と思いました。

封建的な社会や宗教が強く影響する社会では、世間一般の「こうあるべき」という姿が明確ですが、現代の何をしても自由な社会では価値観が多様化しているため、何をすれば認められるのかはとても微妙な問題です。そのため、認められたいけど自由に生きたいという葛藤が生じてしまい、生きることに大きな不安を抱えている人が増えているということです。精神疾患は遺伝的な要素もありますが、不安から自分を守るための自己防衛の形が症状として出ているのだと理解すると、とても分かりやすく納得するものがありました。

相互に認め合う社会に

では、どうすれば不安が少なくなるのか。著者は看護師や介護士、教師や保育士などの、人の気持ちに共感する職業がますます重要になること、また、専門的な人たちだけではなくて、誰もがお互いに認め合うスキルを身に着けることが大切だと述べています。

とにかく、話を聞いてもらうだけで、心が軽くなる経験があると思います。見えないことは怖いし、知らないことは不安なので、よく見て、知り、学ぶ努力も必要だと思います。

認められたい自分がいて、認められたい他人がいることを理解しているだけで、随分と世の中は違ってくるように思いました。

まずは、身近な家族のあるがままの姿を愛でることから始めてみようかと思います。

 

2022年3月21日 読了

 

橋本之克『世界最前線の研究でわかる!スゴい!行動経済学』_感想

 

自分で最適の選択をしているつもりだったんだけど

本書は、「行動経済学」という「心理学」と「経済学」を合わせた比較的新しい学問について、身近な例をもとに分かりやすく書かれています。なぜ、それを選んでしまうのか、どうしてそんな行動をとってしまうのか、これまで自分で考えて理解して動いていたつもりでいましたが、実は色々な行動経済学の事象に左右されていたことが分かりました。

ちょうど、春を迎えて、新しいスーツを買ったり、家具を揃えたりと出費のかさむ時期なのですが、この本を読んだおかげで、少しは冷静に買い物ができそうです。

例えば、価格の高い商品、中くらいの商品、安い商品がならんでいたら、大抵の人は中くらいのものを選んでしまう「極端回避性」など、あるあるの例がたくさん出てきます。

人間はとっても不合理

逆にこうした心理を利用して自分のモチベーションや集中力を高めることができると著者はいいます。例えば仕事の締め切りやプロセス管理法を上手く決めるだけで、楽に自分のモチベーションを上げることができます。人は新たに手に入れた喜びよりも、今持っているものを失う悲しみの方を強く感じてしまうという性質を使って、失敗したらどうしようという「損失回避」と良い結果が感が積み上がって満足感が増大する「上昇選好」を上手く組み合わせれば、難しいタスクこなしていけそうです。

こうした自分の行動の裏にある理由を知っておくことは、とても大切だと思いました。

人生は選ぶことの連続ならば

最後に著者は、「今よりも少しだけ良い世界に」という章で、個人と社会の関りについて行動経済学を通して考察しています。「ナッジ」という強制的ではない行動規範の導き方が様々な場面で取り入れられるようになってきましたが、人間の心理には、正直で公正でいたいという気持ちや、集団と同じことをして集団の中に溶け込みたい、という気持ちがあると著者はいいます。こうした心理を刺激して、経済面だけでなく社会面でも行動を変えていくことが可能かもしれません。

自分の体は自分の食べた物で、自分の価値観は自分の選んだ行動でできているのだとしたら、行動経済学を知ってよりよい選択をしていくことも自分たちにできる重要な社会貢献ではないかと思いました。

 

2022年3月12日 読了

玉樹真一郎『「ついやってしまう」体験の作り方 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』_感想

 

そっか、ゲームの面白さってこういうことね

著者は任天堂Wiiの企画開発に関わった方で、人はなぜゲームに夢中になってしまうのか、という切り口から「体験」というものの仕組みを分かりやすく解説しています。

昔の子どもも今の子どももゲームが大好きですよね。それは、ゲームの中の体験を通して、自分が成長できるからなのだそうです。ゲームの面白さは、そこにあるようですね。冒頭にスーパーマリオの初めのステージのデザインが出てきます。右側を向いているマリオ。背景には山があり、マリオの右側には開けた草原があります。プレイヤーは何も教えられなくても右側に進むことに気づきます。そして最初の敵であるクリボーに出会って、それを踏みつぶしたりファイアーフラワーを取るころにはすっかり自分に満足しています。そうか、やっぱりね。こうしたら進めるんだ。

これは直感から仮説を立てて、それを実行したときに、あ。合ってたんだ!という喜びからくる大きな満足感だと思います。その都度プレイヤーはゲームの中で体験を通して成長しているというわけです。子どものころに夢中になったゲームも、今から思うと、こんなにデザイナーさんの夢中になる工夫がちりばめられていたのですね。

驚きと、物語性によって最後までプレイする

ゲームの中では、次に驚きの要素と物語性が重要。プレイヤーの期待を裏切ることにより飽きさせない工夫と、ストーリーが進むにつれてちょっと面倒な同伴者を受け入れて助ける心境…ゲームの中でプレイヤーが成長する過程こそ、ゲームのもたらす経験だと筆者はいいます。

そして、実社会でも、この経験に導くスキルが活かせるはずであると。

とにかく経験することは面白い

実社会での活かし方は本書の後半にまとめてあるのですが、正直なところ、実践にはもう少しかみ砕いたステップが必要かな、と思いました。

ですが、前半部分のゲームを通した体験とは何か、という理論は学ぶところが多く、実際に自分がやったことのあるゲームの製作者の意図を知ることができたりと、とても面白い内容でした。親御さんは子どもに、ゲームばかりしてないで勉強しなさい!と怒る前に自分も一緒に子どもと同じ目線で体験をしてみるべきですね。

実際、今の学校現場で使われているAIドリル(タブレット端末で行うドリル)は、正解すると少しだけ難しい問題を出してくれたり、3回連続で正解するとコンボのポイントがもらえたり、なんともゲーム要素満載なのですよ。

とにかく体験することは面白い。人間はそういう風にできているんだと納得する内容でした。

 

2022年2月20日 読了

 

 

片山俊大『秒速でわかる!宇宙ビジネス』_感想

 

サクッと読める宇宙ビジネスのあれこれ

昨今の宇宙を取り巻く状況がイラスト入りでわかりやすく書かれた良書です。

多分、1時間ほどでサクサクと読めますね。

昨年末にゾゾタウン創始者の前澤氏が宇宙に飛び立って、宇宙からお金を配ってましたよね。私も300円をいただきました。あれを見て、お金を持て余してるから、ついに宇宙に行くのか、くらいにしか思っていませんでしたが、本書を読んで認識が180度変わりました。これからのビジネスの熱い分野が宇宙だからこそ、世界の大富豪が宇宙に飛び立ち、自らを広告塔にしてビジネスの裾野をどんどん広げていこうとしているのだと気づきました。もう経済成長のためには地球は狭すぎるようです。

人工衛星でビックデータを集める

生活に不可欠になったGPSも、BSやCSの放送も、すべては人工衛星の仕業です。もともとは軍事利用を目的にロシアとアメリカが競争する形で開発が進められてきた宇宙技術ですが、現在では、人工衛星などの近くの宇宙は民間に、惑星探索など遠くの宇宙は国営で、という流れになり、様々なビジネスチャンスが到来しています。

人工衛星により全方向から地球の様々なデータを集めることができ、それらのビックデータをAIが解析することで、これまでにないサービスが登場する可能性もあります。イーロン・マスクやジェフ・ベソスなどのIT富豪がいちはやく宇宙ビジネスに投資する理由が良くわかりました!

宇宙経由でパリに行く?

ロケットを使って、宇宙空間を経由した移動が可能になれば、東京ーパリ間は40分ほどで行けるらしく、まずは交通手段としての宇宙空間の利用に大きな期待が持てますね。そして、すでにもう、宇宙飛行機やロケットが発着する宇宙港の建設が世界各地で進められているようです。なんてことでしょう。

さらには宇宙エレベーターという嘘のようなアイデアも真剣に研究されているようです。もうロッケトを飛ばさなくても宇宙に行けちゃいますね。

未来への投資となるか

本書の中ではコラムに宇宙投資家や宇宙弁護士、宇宙事業プロデューサーなど変わった職業の方が登場します。宇宙に関する仕事がどんどん増えてきており、宇宙ベンチャーもたくさん生まれているようです。閉塞感のあるビジネス社会の中でこれはすごいことだと思います。こうした宇宙の研究や新しい技術が他の分野でも生かされて、限りある地球資源を見直すための投資になれば素晴らしいと思いました。

宇宙から地球を眺める日が来るのかもしれないですね。

 

2022年2月19日 読了

西岡壱誠・中山芳一『東大メンタル「ドラゴン桜」に学ぶやりたくないことでも結果を出す技術』_感想

 

マインドを変えれば、地頭力も上がる!
偏差値35から東大合格して、
ドラゴン桜2』の編集担当になった僕が、
東大生に学んだメンタル・テクニック。

認知能力 ⇔ 非認知能力

本書は現役東大生の西岡氏が自身の経験を通して「東大に合格できるくらい頭がいい」というのは実際はどういうことなのかが、分かりやすく書かれています。また、教育プログラムの研究者である中山氏は、テストなどで客観的に測ることができない自制心や忍耐力、向上心などの「非認知能力」が、いわゆる学習能力である「認知能力」と密接にかかわっている点を説明しています。

先天的に頭の良い人というのはいなくて(もちろん天才といわれる方は存在しますが、頭が良いのとは少し違いますね)、東大に合格するような学生も、実際は非認知能力(主体性・メタ認知・モチベーション・戦略性)が高いため、自分で目標を定めて自己分析をしながら自身をコントロールすることができ、結果として東大に合格できるレベルまで学習を続けることができる、ということです。

主体的に学ぶとは

昨今の義務教育の学習指導要領では「主体的で深い学び」というフレーズがどの科目にも登場します。お子様の通知表の評価項目も「主体的に学ぶことができる…〇△」というような評価になっていると思います。

なんとなくですが、これは今までの学習が教師から生徒への指導的・受動的であったことを反省しているように感じてしまうのですが、今の教育現場では「自分で考えて、自分の言葉で相手に伝えて、相手の意見を聞いて、自分の考えを深める」という学び方を重視しているようです。GIGAスクール構想として始まったタブレット端末などのICTを活用した授業スタイルも、一方的に知識を享受するのではなく、自分の考えを発信する学習として授業を変えていくことに主眼がおかれる必要があると思います。

では、主体的に学ぶとは、どういうことか。という点ですが、本書では、まず学習に取り組むためのマインドとして「やりたくないことに主体的に取り組むための目標を持つこと」が第一歩だと書いています。普通に考えると勉強は楽しいものではありませんが、学習した知識が実生活の中で役に立ったり、さらに興味や関心を深めてくれるものになれば、学習に面白みを感じられるようになり、自分からどんどん勉強できるようになれると筆者はいいます。そして自分の獲得した知識を使えるようになること、これが「主体的で深い学び」の求めるものではないかと思います。

マイナス思考とプラス思考

また、モチベーションの維持として、プラス思考とマイナス思考の両方が大切だとあります。楽観的にまだ大丈夫という気持ちと、もうダメかもしれないという気持ちが両方あるからこそ、私たちは期限内に仕事ができたり、失敗しないように前もって準備ができたり、初めてのことに挑戦できたりするようです。仕事でも、いけるかもしれない、だめかもしれない、というハラハラ感があるとき、充実してるなと感じますものね。自分の中で上手くバランスさせることが重要なのだと思います。

本書では、要所要所にドラゴン桜の漫画が引用されていて、できれば、これから受験する高校生に読んでほしい内容だな、と思いました。本書を読むと勉強するということの認識が変わるように思います。もしかしたら、自分も東大を受験できるのではないか、と思えてくる書籍でした。(時すでに遅すぎですが…)

 

2022年2月13日 読了